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  2. ドローダウンについて

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ドローダウンによるシステム運用停止の基準は?

前回の「捨てられないシステム」より続きです。

システムトレードを行う上で避けては通れない議論の1つが

システムの停止条件をどう決めるか?

ということだと考えています。

できればそういった事態にならないことに越したことはないのですが、
作ったシステムが何の問題もなく将来ずっと機能し続けるということを望むのは
少し楽観的すぎる気がします。

もちろんそうならないために構築段階で万全の注意を払うべきですが、
ノーベル賞級の頭脳をそろえたあのLTCMでさえ破綻してしまうのが相場の怖さです。
われわれ凡人が万が一に備えておくことは当然のことと言っていいでしょう。


一般的には

1.過去の最大ドローダウンを更新したら運用停止

2.最大ドローダウンの1.5倍~2倍で運用停止

3.1ヶ月で資金の5%を失ったら運用停止

などの目安を決められている人が多いようですが、
今回はバックテストでの平均利益とその標準偏差から
システムの停止条件を決める方法を提案してみたいと思います。


バックテストにおいて、
1トレードあたりの平均獲得pipsがpで、
その標準偏差がσのシステムがあるとします。


このシステムのNトレード後の期待される利益の平均は

Pn = p×N

そして標準偏差は

σn = σ×SQRT(N)

ということが言えます。

※ SQRTは√の意味
※ 参考: http://portstudio.jp/study/12_root.html#12-1

つまりNトレード後の総損益は

 Pn ± 2×σn の間に95%の確率で収まる

という予測が可能です。

これを利用して、

もし95%の範囲を外れてしまった場合は、
このシステムに何か異常が生じたと見なし以降の運用を停止する


という基準を設けることができます。


この基準は、運用損益の分布が運用開始前と後で著しく乖離した場合に異常を知らせてくれるものです。


ここでNの値を決める必要が出てきます。

Nの値があまりに小さいと、運用開始前後での異常を察知できません。
いろいろ調べたところ、N=50程度のサンプル数が必要ということでしたので
今回もN=50を採用してみます。

※参考: http://sci.kj.yamagata-u.ac.jp/~columbo/Stat/Data_Trans/power.html


下の図はバックテストにおいて平均利益10pips、標準偏差50pipsの
システムの資産曲線と-2σnライン(赤線)を例示しています。

FXシステムトレード研究


このシステムで50トレード以上運用を行い、
もし資産曲線が赤のラインを下回れば運用を停止することになります。



この停止基準が、単純に「ドローダウン更新=システム停止」とやるよりも
優れている点は

◆良い点

(1)横ばいでも運用を停止できる

資産曲線が長く横ばいになってしまい、ほとんど利益を生まなくなったときでも
ドローダウンを更新しなければシステムの運用をストップする正当な理由はありません。

しかし今回提案した停止基準では、資産曲線が長く横ばいになり
-2σnラインをまたいでしまったら運用を停止するのでいつまでも利益の出ないシステムに縛られることはありません。


◆問題点

(1)プラス方向(+2σn)に外れた場合

もしシステムが儲けすぎて、資産曲線が+2σnラインをオーバーしてしまったとき
どうするかという問題があります。

稼げているので問題はなさそうですが、これまで述べた論理で行くと
儲けすぎもシステム異常と見なされ、運用をストップすべきだという結論に至ります。

(2)運用再開の判断は?

もし-2σnラインを下回り運用を停止した後、
再度[-2σn, +2σn]の範囲に入ってきたときシステムの運用を再開しても良いのかどうか?


  【FX システムトレード派はこちら

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捨てられないシステム

私がまだシステムトレーダーとして経験が浅かったころに作ったシステムがあります。

EURUSDのデイトレードシステムで、すでに運用を始めてから2年以上経過しています。

今みると売買ルールの構築手順などが稚拙でとても褒められたものじゃないのですが、ルール自体はシンプルで堅牢性を有しており、なんとか実運用に耐えています。

「耐えてる」といっても実際にはこれ以外のシステムががんばってくれてるから
耐えてると言うべきでこのシステム単体では非常に心許ない成績です。


◆期間:2002年10月~2010年2月

◆対象通貨ペア:EURUSD(60分足)

◆トレード数:1014

◆勝率:57.5%

◆獲得pips:+6957pips(スプレッド3pips考慮済み)

◆PF(プロフィットファクター):1.25

◆PR(ペイオフレシオ): 0.92

◆1トレードあたりの平均損益:6.9pips

◆最大ドローダウン:860pips

FXシステムトレード研究


このシステムの運用を開始したのは2007年7月。
サブプライムショックの直前でした。

※上図の直線aのタイミング

運用開始後システムは不調で、資産曲線もずるずると下降。
それまでの最大ドローダウンを更新してしまいます。

「このシステムはダメだな。」

失望した私はこのシステムの運用を一時中断しました。

※上図の直線bのタイミング

しかし私が運用停止した約半年後、このシステムは急激に復活し
見事にドローダウンを解消し切ってきます。

私はこのシステムの運用を再開しました。

※上図の直線cのタイミング

再開してからもパフォーマンスはパッとしませんでしたが、
既存のシステムとの関係性は良好で、メインで活躍しているシステムが
少し不調に陥ったときにはこのデイトレードシステムがよく助けてくれました。


そうでなければ、2008年10月から1年以上にも及ぶフラット期間の間で
とっくにこんなシステムは捨て去っていたことでしょう。


ちなみに運用を再開したときからのパフォーマンスは

◆トレード数 326

◆勝率 54.6%

◆PF(プロフィットファクター) 1.14

と恐ろしく地味な数字が出ております(笑)


私の場合この平凡なシステムをヘッジシステムとしてうまくポートフォリオに
組み込むことができたのですが、本来であれば運用前にシステムの停止条件を
きちんと決めておくのが正当な運用手順でしょう。


しかしここで問題なのが、

システムの運用停止タイミングをどう決めるか?

ということです。

システムの停止条件は過去の最大ドローダウンを目安に設定されることが多いのですが、以前の記事「将来起こりうるドローダウンを想定する」でも示してあるようにバックテストで出てきた最大ドローダウンの値にシステムの運用停止を決定するだけの大きな意味(統計的意味)があるのかどうか懐疑的です。

2年前、私はこのシステムがドローダウンを更新したので
運用を停止し、半年後ドローダウンを解消したのでまた運用を再開しました。


はたしてこの行為は正しかったのか?

単純にバックテストの最大ドローダウンをシステム停止条件として使用していいのか?

システムの運用停止条件を理論的に線引きする基準は別に存在するのか?


ドローダウンによるシステム運用停止の基準は?へ続く。

FX システムトレード派はこちら

将来起こりうるドローダウンを想定する

例えば過去10年のバックテストにおいて、

トレード数 1000回
勝率52%
PR(ペイオフレシオ)1.3

のシステムがあるとします。

今後10年このシステムを運用するとき、
想定される最大ドローダウンはいくらになるのでしょう?



まずPRが1.3ということなので、簡単に

1回の勝ちトレードの利益が1.3
1回負けトレードの損失が1

として考えていきます。


トレードの勝ち負けは独立試行だと考え、
シミュレーションを行います。

1):毎回勝つと1.3もらえ、負けると1とられるゲームを1000回繰り返す。これを1セットとする。
2):1)を5000回シミュレーションし、1セットごとの最大ドローダウンを頻度分布にとる。

下図がそのときのヒストグラムです。

FXシステムトレード研究


横軸が最大ドローダウンの値、縦軸がその頻度を表しています。
例えば5000回のシミュレーションのうち、
最大ドローダウンが8クラスになる頻度は25回あります。

※ここで「8クラス」とは、1回の負けトレードの損失の8倍以上9倍未満の額を指します。

全体の頻度分布はよく見る左右対称の正規分布ではなく、
右サイドにロングテールが出てきてます。
対数正規分布でしょうか?

最大ドローダウンの平均は12~13あたりで、
20以上の最大ドローダウンは全体の9.4%を占めてます。

22クラスの最大ドローダウンが全体の分布の5%。
平均値の2倍弱のドローダウンが5%の確率で起こり得るということを示しています。

1%の水準まで想定するとなると、最大ドローダウンは27クラスとなります。

つまり、このシステムを今後10年間運用していくと、
もしかしたら運悪く1回の負け額の27倍程度のドローダウンを被る
かもしれない
ということです。


このようにバックテストから、将来起こり得るドローダウンの値を
確率によって見積もることができます。

個人的には、バックテストで得られた最大ドローダウンの値よりも、
今回行ったようなシミュレーションによる想定ドローダウンの方が
意味のある数値ではないか
と考えています。


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プロフィール

Author:Phai
4年前に専業トレーダーに転身。
トレンドフォロー系のシステムをメインに複数のシステムで資産運用を行っています。
メンバー100名以上→【FC2限定システムトレードコミュニティを立ち上げました

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