今回は単純移動平均の代わりとして中値(=高値と安値の平均)を
使用したシステム例について見ていきます。
中値1:過去5本の最高値と最安値を足して2で割ったもの
中値2:過去14本の最高値と最安値を足して2で割ったもの
中値1のラインが中値2のラインをゴールデンクロスしたら買い、
デッドクロスで売り。
実はこれ、中値ラインシステムという名前で
「
システムトレード勝利の方程式」に登場する売買ルールです。

書籍には以下のようなバックテストが掲載されております。
◆期間:2004年4月~2008年7月
◆対象通貨ペア:AUDJPY(480分足)
◆トレード数:221
◆勝率:45.7%
◆獲得pips:+49.72万円(スプレッド考慮済み)
◆PF(プロフィットファクター):1.63
◆コメント:
損益曲線はきれいでドローダウンが一定に収まっているのが良い
ちなみに手元にあるデータで私が検証してみると
◆期間:2004年4月~2008年7月
◆対象通貨ペア:AUDJPY(480分足)
◆トレード数:237
◆勝率:44.3%
◆獲得pips:+53.25万円(スプレッド考慮済み)
◆PF(プロフィットファクター):1.69
とだいたい同様の結果を得られました。

損益曲線の形も本に掲載されているものとほぼ同じです。
さて、
ではこの売買ルールの「その後」はどうなったか?例によって追跡調査してみます。
◆期間:2004年4月~2009年12月31日
◆対象通貨ペア:AUDJPY(480分足)
◆トレード数:329
◆勝率:42.6%
◆獲得pips:+40.71万円(スプレッド考慮済み)
◆PF(プロフィットファクター):1.25

損益曲線を見たら一目瞭然ですが、
2009年はかなり悪いパフォーマンスとなってしまいました。
ちょうど2008年のリーマンショックの大荒れ相場で稼いだのを最後に
あとはボラの縮小に苦戦が続いてるようです。
今回の例で私は感じてることは以下のことです。
1.
トレード数200程度のシステムはかなり危険バックテストでのサンプル数が200程度しかないシステムはかなり危険でしょう。
仮にフォワードテストで100ほどサンプルが増えてもまだ全体で300です。
加えてこのシステムはAUDJPY1通貨のみに対応する特殊なシステムですから、
やはり最低でも400~500のトレード数は欲しいところです。
2.
シンプルさの限界この中値ラインシステムのパラメータは2つ。
シンプルなルールですが、そのシンプルさゆえの限界も見えてきます。
中値ラインシステムは完全なドテンシステムですので、
常にロング/ショートのポジションを保有します。
値幅の大きな相場は得意ですが、値幅が小さくなったときにも
ドテンを繰り返すので必然的に往復ビンタを食らう確率が高くなります。
ボラティリティの収縮に対し、あまりにも無防備すぎるシステムだと言えるでしょう。